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Masashi Yamamoto Contrabass Solo
The Unplugged Theatre
2024
1.26 1.27 1.28
at
1/26 (金) 19時
&
1/27 (土) 15時
フィリップ・ボアヴァン:ZAB ou la Passion selon Saint-Nectaire (1981)※日本初演
森田泰之進:速驚曲第3番 (山本昌史委嘱新作・2021)※初演
木下正道:石をつむ IX (山本昌史委嘱新作・2023)※初演
ジョン・ケージ:The Wonderful Widow of Eighteen Springs (1942)
ジェイコブ・ドラックマン:ヴァレンタイン (1969)
一柳慧:空間の生成 (溝入敬三委嘱作品・1985)
1/27 (土) 19時
&
1/28 (日) 15時
フィリップ・ボアヴァン:ZAB ou la Passion selon Saint-Nectaire (1981)※日本初演
森田泰之進:速驚曲第3番 (山本昌史委嘱新作・2021)※初演
木下正道:石をつむ IX (山本昌史委嘱新作・2023)※初演
藤倉大:Bis (2018)
ヤン・ロバン:Myst (2019) ※日本初演
高木日向子:Lost in____ VI (山本昌史委嘱作品・2022)
コントラバス一本でどこまでやれるか、何ができるか
本公演は、コントラバス独奏の真髄に迫り、コントラバスの可能性を余すところなく引き出す無伴奏作品、挑戦的かつ多彩な表現力と演奏技術を要する傑作が揃う。
息づかいまで聞こえる距離感
会場となる『アトリエ第Q藝術』は、多様な表現芸術を発信する実験的で自由な空間である。コントラバスという楽器の特徴を最大限に生かした現代作品の数々に、第Q藝術チーフディレクター・早川誠司氏の照明演出も加わり、前代未聞の三日間となることだろう。
日本人作曲家による委嘱新作を世界初演
再演が少ない作品の復活と継承を自らの使命と課す一方、近年は新たなコントラバスの魅力を発信するため、国内外の作曲家への委嘱も積極的に行っている。
本公演では、強烈な個性を放つ気鋭の作曲家に委嘱した、創意あふれる2作品を世界初演する。
木下正道 Masamichi KINOSHITA
1969年、福井県大野市生まれ。ブラスバンドやハードロックの経験の後、東京学芸大学にて音楽を学ぶ。武満徹作曲賞などに入選。現在は、様々な団体や個人からの委嘱や共同企画による作曲、優れた演奏家の協力のもとでの先鋭的な演奏会の企画、通常とは異なる方法で使用する電気機器による即興演奏、の三つの柱で活動を展開する。
ここ数年は室内楽曲を中心として年間20曲程度を作曲、初演。日本で活動する現代音楽に関心を寄せる先鋭的な演奏家の殆どが、その作品を初演、再演している。
森田泰之進 Yasunoshin MORITA
作曲を松平頼暁、Frédéric Durieuxの各氏に師事。これまでに日本現代音楽協会作曲新人賞、ヴァレンティノ・ブッキ賞(イタリア)など受賞多数。2013、2023年ISCM世界音楽の日々(ウイーン、南アフリカ)入選、2017年ISCM世界音楽の日々(ヴァンクーヴァー)招待作曲家。 日本現代音楽協会理事。
エキセントリックな海外作品を日本初演
『ZAB』フィリップ・ボアヴァン(1981)
様々なアイデアを持った現代作品の中でも、ひときわ異彩を放つシアトリカルな問題作。その難易度ゆえに演奏者は過去2人だけというこの作品。全編に散りばめられた特殊奏法と演劇的パフォーマンスは、2023年夏、南フランスにて作曲家本人より絶賛を受ける。
『Myst』ヤン・ロバン(2019)
コントラバスが創り出す“モンスター”。コントラバス、あるいは弦楽器の演奏を根本から覆す。破壊しすぎた音色は美しすぎる音と紙一重?ダルムシュタットにて、初演者より、楽譜からは読み取ることの叶わない表現の細部まで伝授される。
いずれも緻密な再現力を発揮し、いよいよ日本初演のときを迎える。
コントラバスを 擦り、歌い、弾き、語り、叩き、呻く…
コントラバスと演奏者だけで完結する、非常に刺激的で予測不能な作品たち。
独創的なアプローチで現代作品を捉える山本昌史がどんなパフォーマンスを見せるのか、ぜひ会場で体感してほしい。
『The Wonderful Widow of 18 Springs』John Cage (1942)
3分弱の歌曲。伴奏はピアノだが、蓋を閉めたまま指や拳で柔らかく叩かれる<打楽器>として扱われている。本公演では、コントラバスを<打楽器>として演奏する。
『ヴァレンタイン』ジェイコブ・ドラックマン (1969)
1969年に初演されて以来、世界中で最も演奏回数が多いと思われる独奏コントラバスのための現代作品。演奏者は弓、両方の手、ティンパニのスティックで楽器胴体、駒、弦を叩き、多彩なビートと音色が生み出される。セリフを読んだり、絶叫したり、また、歌による対位法もある。 「ヴァレンタインは強烈な勢いで始まり、陶酔状態に向かって進む。演奏者は、ほぼマルキ・ド・ サドのような集中力で、楽器を攻撃しなくてはならない。」(スコア冒頭より)
『ZAB ou la passion selon saint nectaire...』Philippe Boivin (1981) ※日本初演
演奏者は単に楽器を奏でるのではなく、楽器を扱う一つ一つの動作や声や息づかいまでも用い、コントラバスに楽器以上の役割を与える。その難易度から過去演奏した奏者は2人だけ。何十年もの間、埋もれた 名作として存在していた。 ボアヴァンはIRCAM創設初期にクセナキスらと電子音楽の研究もしており、その時期に書かれた『ZAB』 は完全にアコースティックであるが、実に挑戦的で実験的な作品となっている。この作品を復活させるべく、 今年の夏、作曲者の元を訪ね、ともに再検証を図った。
2023年現在、次々と新たな新作がこの世に生み出されているが、なかなか演奏されない埋もれた作品 を探り出し、解き明かし、つまびらかにすることで、今まで誰も知らなかった作品を明らかにすることもまた、 新たな挑戦と言えるのではないだろうか。 作曲年こそ1981年となっているが、40年以上経った現代においてもこの作品には新しさしか感じない。 その奇抜なアイデアと奏法に更に磨きをかけ、披露できることが非常に楽しみである。
フィリップ・ボアヴァン
1954年生まれ。ソルボンヌ大学で音楽学を、パリ国立高等音楽院で和声を、マックス・ドイチュに作曲を師事。1985年、SACEMより最優秀教育作品賞、1988年にはジョルジュ・エネスコ作曲賞を受賞。1979年からはヤニス・クセナキスとともに新しい音楽を研究。IRCAMやカリフォルニア大学サンディエゴ校でも学び、その後ラジオフランスのプロデューサーとして活躍した。
独奏曲、室内楽、大規模なオーケストラに至るまで、さまざまな楽器のための作品を数多く残している。
『空間の生成』一柳慧 (1985)
古典的なほど楽器に無理なく書かれており、現代音楽に興味がない人にも好まれるだろう。重音やハーモニクスを効果的に使った緩やかなモノローグから始まり、やがて密度が増してくると、8分音符を主体とした律動的な部分になる。 時間をかけてクライマックスが形成された後、ゆっくりと弛緩、緩やかな部分に戻り、最後に鋭いピッツィカートで切 られる。長いハーモニクスの余韻の後には、静謐な空間が残される。
『Bis』藤倉大 (2018)
特殊な調弦を用い、全編にわたってコントラバスをギターのようにかき鳴らす。 弦楽器は通常、「駒から押弦点」を発音させて音を出すが、コントラバスは弦長が長いため、「押弦点から上駒」すなわち、指板上を発音させても大きな音量が出る。この「駒から押弦点」「押弦点から上駒」の音程的、音響的な差を上手く利用した、コントラバスの新たな奏法を確立させた作品といえるであろう。
『Myst』Yann Robin (2019) ※日本初演
揺らぎの間隔まで指示された重音のロングトーンによる導入部が過ぎると、ほぼ全編にわたり、ノイズとも言える激烈な音の嵐が始まる。左手は指板を叩きつけ、右手は弓を弦に叩きつける。かと思えば左手でバルトークピッチカートをしながら、右手はブリッジ下をトレモロ。しかもすべての音は完全に制御されていなくてはならない。終始繰り広げ られる楽器と奏者との熾烈な戦いは、最低音のロングトーンとともに静かに終末を迎える。
『Lost in_____Vl 』高木日向子 (山本昌史委嘱作品・2022)
2019年にジュネーブ国際音楽コンクール作曲部門で優勝した注目の作曲家。Lost in______は独奏曲のシリーズで、今までにオーボエ、ヴァイオリン、ホルンなどのために作曲された。その第6作目となる。明治後期から昭和初期にかけて 活躍した作家、泉鏡花が書いた『竜潭譚(りゅうたんだん)』という小説が着想のきっかけとなった。楽譜通りに演奏す るだけで自然な緩急ができあがる作品。ハーモニクスや特殊奏法も効果的に書かれている。
『速驚曲第3番』森田泰之進 (山本昌史委嘱新作・2021) ※初演
ボトルが指板を駆け回ったかと思えば、ピッチカートによるハーモニクスの余韻に酔い、マレットでリズムを叩き出したかと思えば、またボトルが指板上を駆け回る。まるでジェットコースターかのような緩急、F1レースかのような速さに驚くだけではなく、一貫性のある音律、散りばめられた即興性にも注目されたい作品である。
『石をつむIX』木下正道 (山本昌史委嘱作品・2023) ※初演
宮沢賢治の二つの短歌を使用した作品のシリーズ第9作目。演奏しながら語るという形態になる予定である。木下氏とは何度もお互いの演奏会に行き交い、氏の独奏曲は数作品初演をさせていただいた。そして今年7月には共演も行った。 最も私の演奏を聞いている作曲家であることに間違い無いであろう。唯一無二の作品になると確信している。
主催:山本昌史
後援:東京藝術大学同声会 特定非営利活動法人 日本現代音楽協会
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 [スタートアップ助成]
このコンサートはサントリー芸術財団の推薦コンサートです
©Masashi Yamamoto 無断転載禁止