
フェニックス・エヴォリューション・シリーズ 115
山本昌史コントラバス・ソロ
無伴奏コントラバスの存在感
The Unplugged Presence

2026年 11/18(水)19:00 開演 18:30 開場
あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール
料金: [全席自由]一般 ¥4,000 / 学生 25歳以下 ¥2,000
主催: contrabass.solo
共催: あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール
協賛: あいおいニッセイ同和損保
後援: 特定非営利活動法人 日本現代音楽協会、東京藝術大学音楽学部同声会

THE
UNPLUGGED
PRESENCE
オーケストラで低域を支える「縁の下の力持ち」が、今、唯一無二の存在感を放つ主役として舞台に立ちます。
本公演は、全編コントラバス独奏による現代作品という、極めて独自性の高い希少なコンサートです。
一流の響きを誇るホールで、滅多に聴くことのできない演奏至難な作品や、後世に語り継がれる珠玉の名作を厳選。
さらに、新たな傑作も誕生します。
コントラバス一台で、重低音の咆哮から繊細な高音までを紡ぎ出す。
その変幻自在な表現力と迫力は、この楽器に馴染みのない方にとっても、驚きと感動の体験となるはずです。
独奏の奇才
「無伴奏」こそコントラバスの魅力が最も引き出せると信じ、山本昌史はこれまで多くの先鋭的な作品と対峙してきた。難解と思われがちな現代音楽だが、山本は現代作品特有の特殊奏法を「あたかも楽器本来の奏法であるかのように」自在に操り、作品のユーモアや構造の美しさを引き出す。凄まじい芸術的感性を発揮し、巨大な楽器をいとも容易く弾きこなす超絶技巧の連続。その強靭かつ比類なき表現力は、国際的にも高く評価されている。
今、目撃すべき瞬間
本公演で取り上げるのは、コントラバスの長い弦長や大きな胴体を生かし、楽器の可能性を極限まで引き出した妙技あふれる作品ばかり。ノイズさえも芸術的に昇華させた不思議な音色、目にも耳にも面白い打楽器的アプローチや生き物のように蠢く旋律、そして奏者の「声」と楽器が共鳴し合う手法など、コントラバスの底知れぬ魅力を存分に堪能できるプログラムだ。
幻の超大作、日本初演
ひときわ異彩を放つのは、現代音楽界で最も過激な美意識を持つエクトル・パラによる『5つの花』である。初演以来、あまりの難易度の高さに再演不可能とされ、現在も出版が見送られている秘曲だ。本公演での日本初演を熱望し、幾度も交渉を重ねた末、このたび出版社より特別に楽譜を提供された。もはや楽器の限界を突破した先にしか存在し得ない響き。「不可能」が現実の音として解き放たれる、歴史的瞬間となるだろう。
日本屈指の作曲家が描く、未知なる創造
関西ゆかりの作曲家による待望の委嘱作品。日仏現代音楽の最前線で活躍し、主要作曲賞を制覇。入念な楽器研究を経て、山本昌史へ書き下ろされた渾身の新作。坂田直樹『蛇神の諸相』(山本昌史委嘱新作・2025)世界初演。
さらに、ジュネーブ国際音楽コンクール優勝の才媛。ベルリンでのソロ公演にて、現地聴衆から最大の反響を呼んだ作品。高木日向子『ロスト・イン______VI』(山本昌史委嘱作品・2022)関西初演。
「彼の演奏には、完璧な楽譜の理解と圧倒的な構成力、 しなやかな情熱が満ちている」
——フィリップ・ボアヴァン (フランスの作曲家/2024年ソロ公演・作品日本初演に寄せて)
「作品に素晴らしい効果をもたらす演奏家」
——ポーランド最古かつ最高峰の音楽雑誌『Ruch Muzyczny』 (ワルシャワ・AżTak現代音楽祭2025レビューより)
「この人がいるおかげで、ことに日本の現代音楽界は 格段に広い地平と展望を得ている」
——長木誠司氏 (音楽学者/第24回佐治敬三賞 贈賞理由より)
P R O G R A M
坂田直樹 蛇神の諸相 (2025)
Naoki SAKATA Aspects of the Snake Deity ※世界初演
【国内の三大作曲賞※受賞者による、当日まで完全秘匿の特殊奏法】
長年フランスを拠点に国際的に活躍してきた京都府出身の作曲家。山本の卓越した技術を最大限に引き出すため、オンラインでの高密度の共同作業を経て完成した新作。コントラバスの常識を覆す「ある特殊奏法」が世界初公開される。
※同一作品による、武満徹作曲賞、芥川也寸志サントリー作曲賞、尾高賞の「三冠」達成。
相思相愛の委嘱が生んだ、楽器の限界を押し広げる「世界初演」
「いつか独奏コントラバスの曲を」と願っていた坂田氏と、「坂田氏による新たな可能性を見たい」という山本の想いが共鳴。当時フランス在住だった坂田氏(現在は帰国し東京音楽大学特任准教授)とオンラインで幾度も対話を重ね、楽器の限界に挑む高密度の共同作業を経て、ついに歴史的な楽譜が完成しました。
当日まで門外不出、コントラバスの常識を覆す「特殊奏法」
「現代音楽としての鋭利さを持ちつつも、ひとつの確かな『音楽』として結実した」と山本が確信を持つ本作。実は、これまでのコントラバスの常識を根底から覆す「ある特殊な奏法」が組み込まれています。現代音楽史に新たな1ページを刻むその全貌は当日まで一切秘せられており、11月18日のステージで初めて明かされます。
高木日向子 ロスト・イン___ Ⅵ (2022)
Hinako TAKAGI Lost in ___ Ⅵ ※関西初演
【ジュネーヴ国際音楽コンクール優勝者による深淵】
国際的に注目を集める兵庫県出身の作曲家。泉鏡花が書いた『龍潭譚(りゅうたんだん)』という小説から着想を得た作品。ハーモニクスや特殊奏法も効果的に書かれている。
▷山本昌史委嘱作品(2022年)。静岡音楽館AOIにて初演、佐治敬三賞受賞公演(2024年)でも演奏され、昨夏のベルリン公演では「最も反響が大きかった」とされる最重要作。
エクトル・パラ 5つの花 (2021)
Hèctor PARRA Cinq Fleurs ※日本初演
【再演不可能とされた幻の「超絶技巧の極北」】
スペインの鬼才による日本初演曲。初稿の段階であまりの複雑さとタフな特殊奏法の連続により、再演は不可能に近いと目され、楽譜の正式出版が見送られてきた幻の傑作。
「再演不可能」ゆえに楽譜が出版されない、“幻の傑作”を日本解禁
ヨーロッパの現代音楽界を牽引する作曲家エクトル・パラ。2021年に作曲されたこの作品は、その過酷な超絶技巧ゆえに初演以来「再演不可能」と見なされ、楽譜の正式出版さえ見送られてきた現代音楽界における“幻の傑作”です。
出版社との粘り強い直接交渉で勝ち取った、特例の「未出版楽譜」
山本昌史は、この埋もれゆく傑作の日本初演を熱望し、海外の出版社と直接交渉を重ねました。その熱意が実り、担当者から「いつか正式に出版された際には、ぜひ購入してね」という激励と共に、特別に楽譜が提供されました。
世界的名手が「正気か?!」と驚愕した、常軌を逸した極限プログラム
山本は初演者であるニコラ・クロス氏(アンサンブル・アンテルコンタンポラン※)に直接奏法を聞き、その際、本作のあまりの過酷さに、ニコラ氏から「楽章の間で誰かにテキストを朗読してもらうなどして、体を休めたほうがいい」と助言されたほど。
山本が、本公演のプログラム全8曲(ファーニホウやクセナキスといった“現代音楽の超難関作品”を含む)を演奏することを明かすと、名手は「正気か(クレイジーだ)!」と驚愕。現代音楽の最前線を走るトップ奏者すら絶句させた本公演は、常軌を逸した集中力と体力を目撃する一夜となります。
※ピエール・ブーレーズによって設立された、パリを拠点とする世界最高峰の現代音楽アンサンブル
ブライアン・ファーニホウ G.S. のための三部作 (1989)
Brian FERNEYHOUGH Trittico per G.S.
【楽譜が真っ黒になる「新しい複雑性」の極致】
「新しい複雑性」※を代表するイギリスの巨匠。極限まで細分化されたリズムと無数の指示により、演奏者の身体的・精神的な限界を強いる現代の超難曲。独奏曲であるにもかかわらず楽譜は2〜3段に分かれ、段ごとに異なるリズムが極度に入り組む。それぞれの音符への指示は微細にわたり、情報量は尋常でない。
※1970年代以降、前衛音楽の停滞期に生まれた芸術運動。楽譜に極めて緻密で難解な指示を書き込み、演奏限界を超えた表現を追求した。
▷超絶技巧の至難曲。完璧に弾ける者は世界的にも数名に満たないだろう。山本は、2024年12月東京オペラシティリサイタルホールで演奏、喝采を博した。
サルヴァトーレ・シャリーノ 白の探求 Ⅰ (1986)
Salvatore SCIARRINO Esplorazione del bianco Ⅰ
【息をのむ「静寂の極限」と官能的な音響】
イタリア前衛の巨匠が追求する「微かな音」の世界。コントラバスとは思えないような「細く、鋭く、透明な、まるでガラスが擦れ合うような」極限まで高音のフラジオレット(ハーモニクス)や、駒の近くを弾く奏法(スル・ポンティチェロなど)が多用され、繊細でミステリアスな音響空間が展開される。
一柳慧 空間の生成 (1985)
Toshi ICHIYANAGI Generation of Space
【日本の現代音楽を牽引した巨匠の美学】
ジョン・ケージら欧米の前衛音楽を日本に広く紹介し、多くの功績を残した。空間的な広がりや時間軸の移ろいを感じさせる傑作。
▷山本は委嘱初演者・溝入敬三氏より作曲家の意図を直接指南され、中間部の速いパッセージについて新たな解釈を得た。
▷NHK-FM「現代の音楽」で、番組進行の音楽学者・白石美雪氏より「大きな楽器を奏でる肉体のエネルギッシュな動きが感じられる演奏」と評された。
ヤニス・クセナキス セラプス (1975-76)
Iannis XENAKIS Theraps
【建築学的アプローチが放つ、野性的な重低音】
建築家でもあったクセナキスによる数学的名曲。5オクターブにわたり弦の上を縦横無尽に滑るグリッサンドが多用される。生き物のように蠢き、唸りを上げる、強烈なエネルギーを放つ難曲。
▷金沢公演にて、作曲家・足立智美氏より「これまで聞いたセラプスの中で、群を抜いて面白い、素晴しい演奏」と評された。
ジェイコブ・ドラックマン ヴァレンタイン (1969)
Jacob DRUCKMAN Valentine
【楽器と共に叫び、叩き、うめく「演劇性」】
現代音楽に身体性を持ち込んだソロ・コントラバスの金字塔。弓で弾くだけでなく、楽器を素手で叩く、弦を激しく弾く(はじく)、奏者自身が声を出すなど、楽器との肉体的な格闘が見どころ。
▷独ダルムシュタット夏季現代音楽講習会では、この作品のパフォーマンスが評価されクラニッヒシュタイン特別賞を受賞(他にベリオ: セクエンツァXIVを演奏)。審査員のメルヴィン・プーア氏(アンサンブル・モデルン創設メンバー)から「私の古い友人ドラックマンのことを思い出した」と個人的にも称賛された。

坂田直樹 蛇神の諸相 (2025)
Naoki SAKATA Aspects of the Snake Deity ※世界初演
高木日向子 ロスト・イン___ Ⅵ (2022)
Hinako TAKAGI Lost in ___ Ⅵ ※関西初演
エクトル・パラ 5つの花 (2021)
Hèctor PARRA Cinq Fleurs ※日本初演
ブライアン・ファーニホウ G.S. のための三部作 (1989)
Brian FERNEYHOUGH Trittico per G.S.
サルヴァトーレ・シャリーノ 白の探求 Ⅰ (1986)
Salvatore SCIARRINO Esplorazione del bianco Ⅰ
一柳慧 空間の生成 (1985)
Toshi ICHIYANAGI Generation of Space
ヤニス・クセナキス セラプス (1975-76)
Iannis XENAKIS Theraps
ジェイコブ・ドラックマン ヴァレンタイン (1969)
Jacob DRUCKMAN Valentine